終了間際ですが、横浜市民ギャラリーで「キオクのかたち/キロクのかたち」展が行われている。

 

笹岡啓子さんの写真は、画面内にブレを持ち込んだカラー写真、黒を基調としたモノクロ写真、広島平和記念資料館内部での高感度で撮られたカラー写真、陰画をそのまま出力したもの等で構成されていた。

笹岡さんの写真は、2009年に刊行された写真集『PARK CITY』の端正なモノクロ写真の印象が強い。

 

 

しかし、笹岡さんは、2009年の『PARK CITY』刊行以前から、陰画のプリントもカラー写真も制作していたのだ。

 

 

写真は、撮影者が意識してもしなくても、どんな被写体を撮ったとしても、なにがしかの「美」を孕んでしまうものだと思う。

笹岡さんの陰画のプリントには、広島を撮りながらもどうしても美を帯びてしまう、写真に対する苛立ちを感じてしまう。

写真というメディア、装置に対する苛立ちへの感性は、写真家という存在の必須の要件ではないかとさえ思う。