昨年、縁があって平取の沙流川アート館で、写真展をやらせてもらった。小さいけど、とてもあたたかい展覧会でした。
そのときに出会った川奈野浩林(こうりん)さんは、学生時代に訪れた平取で萱野茂さん、現在のご主人である久雄さんのご両親、川奈野一信さん、元子さんご夫妻に出会い、大学院での研修の後、生のアイヌ文化の真っ只中に入り、楓栞(ふうか)ちゃん、祐仁(ゆうじん)くんを育てている女性。
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浩林さんです
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楓栞(ふうか)ちゃんと祐仁(ゆうじん)くん
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料理を手伝う久雄さん
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出来上がった料理
全種類ごちそうになりました。
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浩林さん自身、在日中国人の三世でもある。凡庸を絵に描いたような、いわゆる「日本人」として四国の片田舎に生まれた私には、目もくらむような、羨ましい限りの、多元性だ。
昔、「日本は単一民族国家だ」などという、ありえない妄想を口にした政治家がいたが(いまもいるんでしょうが)、いまの日本には、錯綜するような多元性、多様性の自覚こそが、切実に求められていると思う。

後日、平取の荷負という地区にお住まいの一信さん、元子さんを訪ね、元子さんの制作したアットゥシを見せていただき
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「ソーラッキー」という不思議な名で呼ばれていた水場と集落跡を案内していただいた。
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以前ははるかに水量が多かったそうです。
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黄色い花は福寿草

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ソーラッキーの水を飲む川奈野一信さん カイ編集長の伊田と背後霊のようにいるのは、イラスト&ライターの矢島あづさです。

「ソーラッキー」の「ソー」は、おそらく滝に関係していると想像できますし、rat-ki—ぶら下が(ってい)る、という単語が知里真志保さんの辞典にはありますが、関係があるかどうか、門外漢の私にはまったく分かりません。

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丘陵の上にあった荷負への旧道跡。

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ここに30軒ほどの集落があったそうですが、いまは農家が一軒のみです。

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集落跡には、オオウバユリが群生しています。
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オオウバユリにはでんぷん質たっぷりの球根を持ち、アイヌには重要な植物で、それで作ったシトという団子の味わいの深さには驚嘆させられます。一信さんは、こともなげに作っといてあげようかとおっしゃっていましたが、是非お願いします。

浩林さんの友人で、横浜市立大の客員研究員吉本裕子さんが、近々に、荷負のとなりのペナコリという地区に、調査に入られるそうです。吉本さんは、長年にわたり博物館でのアイヌ展示に 関する研究を進めてこられました。平取で研究をすすめるうちに、一信さんたちが生まれ育ったペナコリや沙流川流域のコタンのくらしに興味を持ったそうで す。研究成果が出れば、地域博物館で展示されると聞いています。情報が入りましたら改めてお知らせします。