明治大生田図書館Gallery ZEROに「WALKING展」を見に行った。

「WALKING展」は極め付きに新鮮で心地いい。歩くこと=生成だと
思い知らされた。
「歩く」と言えばどうしても松浦武四郎やイザベラ・バードを連想してしまう。そして何より彼や彼女を迎え入れ、またガイドしたアイヌ民族も航海術にたけた海洋民であると同時に蝦夷、サハリン、千島列島、下北半島、津軽半島といった広大なエリアを歩きまわった民族だ。アイヌ語で道のことをruというが、蝦夷地には、丸木舟のネットワークとともに歩くためのruが全島を網の目のように覆っていたはずだ。それにひきかえ札幌は極度に歩くことを排除する都市だと思う。公共交通機関が十分でなくおまけに積雪が大都市としては異例に多い。そのため市民はどこに行くにも車を使う。

「歩く」ことに誘われ、小田急線生田駅から生田キャンパス往復のほかに、さらにせっかくだからと岡本太郎美術館の佐内正史「対照」展を見に行った。向ヶ丘遊園駅から17分とあるが、30年以上札幌に住んで、私もすっかり札幌化した。おまけに日頃の長距離運転で慢性化した腰のきしみが、これくらいの距離で情けなくも音を立て始める。もう一度腰や膝のさびをとらねばならない。
「対照」はといえばこれは間違いなくラディカルな展示だと思う。
このあときしむ腰をなだめながらふたつのギャラリーをハシゴし、その足で札幌へ。「WALKING展」の刺激を糧に、歩くことを再構築しなければならない。
そういえば今月19日に発売される谷口雅春さんとの本のタイトルも「札幌アートウオーク」なのだ。