「北海道大学総合博物館の展示」
北海道大学総合博物館での浅沼敬子教授の研究発表コーナーで拙作が紹介されています。
展示の様子を紹介します。






ついでに、「On_sar」についての愚考を記しておきます。
「オーセンティシティに関するならドキュメント」に関してのシンポジウムで、鵜飼哲さんが拙作「On_sar」について、「刻印する非意味性」という言葉を投げてくれた。
(露口は)「説明を付け加えず、写真の下、写真のキャプションの位置に、日本語の音声表記法であるカタカナによって転写された地名を添えるのみ」であり、「こうして彼は、固有名としての地名の、刻印する非意味性」を強調する。
松浦武四郎は、沙流川沿岸地域のおいてもそこの地名、沢名を採取し、カタカナで表記した。その名は現在も使用されていて、また各時代に作成された地図に記入されてもいる。それを丹念に辿れば武四郎が記した沢名の多くが、ほぼ推定できると思われる。それらの地名、沢名の多くはアイヌ語を起源としているのだろうが、山田秀三を代表とする地名研究家の研究対象として調査、分析されたものは多くはない。拙作「On_sar」の対象となった沢の名は、武四郎のカタカナ表記とはほぼ無関係に、そこに住んだ人々の口から「音」として発せられ、それは現在においても継続されている。「そこに住んだ人々」とは、いうまでもなくアイヌ民族であり入植者である。そこには漢字表記された「アイヌ語地名を起源とする地名」を探った拙作「地名」のあり方とは異なった「地名」が存在しているように思われる。鵜飼さんご指摘の「刻印する非意味性」とはそういったことを指しているのではないだろうか。また、多くの「地名研究」がその起源を明らかにする方向を向いていると思われるが、そうではない研究の方向があることを示しているようにも思われる。