中央構造線

2023年から制作中

 「中央構造線」と呼ばれる断層は、ユーラシアプレートとフィリピン海プレートの衝突で形成された断層であり、九州から関東までの日本列島を縦断しているとされている。大陸の端で生じ、現在の日本列島とともに大陸から離れていったこの衝上断層は「古中央構造線」であり、それとは別に、四国中部から紀伊半島に生じた横ずれの断層は「新中央構造線」と呼ばれている。

 空海は自著『三教指帰』に、「阿国の大瀧の嶽に躋り攀じ(のぼりよじ)、土州の室戸の崎に勤念(ごんねん)す」と記している。記録されている空海の瞑想・修行の場はこの二カ所、大瀧の嶽と室戸の御厨人窟だけと言われているが、これらの場所は、空海生誕の地善通寺から南に位置している。大学をやめ私度僧となった空海はいくたびも中央構造線を越えて、四国山地を踏破し、修業の場を求めたのだろう。後日空海が修禅の道場の場と定めた高野山は、紀伊半島を横断する中央構造線の南側、地質学のいう外帯に位置し、その東端の外帯には伊勢神宮が位置している。

 「法身の三密は瓦石草木を簡ばず、人天鬼畜を拓わず、何の処にか遍せざる」空海著『吽字義』より