シド農園報告
もっとも信頼できる報道番組だと思っているTBS「報道特集」が、先日特集した「協生農法」は、さまざまな野菜や果樹が、雑草とともに混生し、土壌生物の多様化の効果を生かした農法だそうだ。この農法では、化学肥料や農薬を必要としない有機的なサイクルがベースとなる上に、CO2を土壌内に蓄積し、大気への放出を抑えもする。そこで収穫した作物は、ポリフェノールなどのファイトケミカルを多く含み、食味も良いという。
「協生農法」は基本的には一昨年から始めた「耕さない農法」と共通する部分が多くある。農耕が始まって以来、近代以前の農業には多少の多様性があるとしても、耕作農業が主流であり、特にアメリカ式の農業は、広大な土地に単一の作物を植え、大量の化学肥料と農薬を注ぎ込む農法だ。
耕作農業を長年行ってきた農家にとって、「耕さない」農業への転換は、まさにコペルニクス的転回だろう。生産物の流通の現状ということを考えても、「不耕農法」「協生農法」にはさまざまな困難が生じるだろうことは容易に想像できる。しかし、「報道特集」によれば、アフリカで「協生農法」が、地域社会の経済面も含んだ健全な存続に寄与しているうえに、気候変動への対応力があるという。この農法は中国でも始まっているようだ。また、別の情報では「不耕農法」は、ヨーロッパでは主流になりつつあるということを聞いた記憶がある。
四国の吉野川流域、徳島平野という水には恵まれていたはずの場所で農業を行っている知り合いの農業者は、水への危機感を常に口にしている。都市に住む生活者と異なり、農業の現場にいる人たちは、環境の危機と気候変動をつねに実感しているのだ。農業が大きな転換期に差し掛かっていることは間違いないようだ。
我が家の畑はほんの遊び事でしかない。農業を生活の基盤とする農業者とくらべるべきもなく、偉そうなことを言う気はまったくないしその資格もないが、借家の庭の防草シートを剥がして、わずか3坪の地面で始めたど素人の「耕さない農業」の経過を昨年に続き、報告しておきます。
ここからは、越冬準備が整った畑の状態です。
米ぬかと少量の苦土石灰を散布して、越冬します。
米ぬかは、地中のバクテリアの栄養。
「不耕農法」は、根が大事なので、根は抜きません。表面の土も極力移動させず、根とバクテリアの作った環境を壊さず、従って耕しません。
なお、片隅になまゴミ処理の場所を作っていて、わずか1m四方のスペースですが、生活からでる生ゴミや、刈り取った草などは全部ここで分解できます。